近未来——。
AIですべてのものが最適化されていく世界の中でも、戦争は人々を苦しめ続けた。
終わりなき戦争の中でAI達が「最適化」の末に導き出した答えとは、銃弾をばら撒くことではなく、精神まで侵す生物兵器ウイルスをばら撒くことだった。
文明は崩壊寸前まで追い込まれ、世界は“感染恐慌”に沈んだ。
そんな絶望の中、突如現れた救世技術。
神経接続型ウェアラブルチップ――HC(ハーモニーチップ)。
装着者の不安や混乱までも鎮めるその奇跡のデバイスは、瞬く間に全世界へ普及し、8割以上の人間がHCを装着した。
不自然なほど自然に、HCは社会へ溶け込んでいった。
一方、HCの装着を拒んだ人々には異変が起きていた。
感染していないにもかかわらず、幻覚、錯乱、人格崩壊。
理性を失った者たちは隔離区域へ追いやられ、HC装着者との格差は広がる一方であった。
主人公 AIYA の父は、HCを共同開発した天才科学者の一人だった。
AIYAは子供の頃から可愛がられ、愛情をたっぷりと受けて育てられた。
しかし、ある日を境に父はAIYAと距離を置くようになる。
明らかに以前とは異なる反応をする父。
その数日後――母は謎の死を遂げ、父は忽然と姿を消した。
学校から帰宅したAIYAを迎えたのは、人気のない家、微かに漂う鉄の匂い、壁の向こうから聞こえる不気味な電子ノイズ。
書斎の机の上には、父の手書きのメッセージと、見たこともない黒いチップが残されていた。
HCを装着した人間を“救済”するため、電波塔「センチネル」へ向かう。お前もこのチップを使え。もう、時間がない。
その瞬間、家中のモニターが一斉に起動する。
《未認証個体を検知。回収プロトコルを開始します。》
これは救済か。支配か。
父は敵なのか、味方なのか。
そしてHCに隠された真実とは――。